相続人が行方不明・連絡が取れない。そのとき相続手続きはどうなる?
親が亡くなって相続の手続きを始めようとしたとき、「相続人の一人と何年も連絡が取れない」という状況に直面するご家族がいます。音信不通の兄弟、疎遠になった親族——決して珍しいことではありません。
こういうケースで多くの方が悩むのは、「その人の同意なしに進められないの?」という点です。結論からいうと、行方不明の相続人がいても、手続きを進める方法はあります。ただし、通常より時間と手間がかかることは覚悟しておく必要があります。
なぜ行方不明者がいると困るのか
遺産分割協議は、相続人全員の合意で成立します。一人でも欠けていると、協議書に全員の署名・押印が揃わず、不動産の名義変更も銀行口座の解約もできない状態になります。
「あの人はどうせ何も言ってこないから、ほっておけばいい」と思いがちですが、法律上はそうはいきません。行方不明であっても、相続人である以上は遺産分割に参加する権利があります。
まず試してほしいこと:戸籍の附票で住所を調べる
「連絡先がわからない」という場合でも、戸籍の附票を取得することで現在の住所を調べられる可能性があります。戸籍の附票には住民登録の履歴が記載されており、相続人であれば取得する権限があります。
意外と、これで住所が判明して手紙を送ったら返事が来た、というケースも少なくありません。まず試してみる価値はあります。
それでも連絡が取れない場合:不在者財産管理人
住所はわかったが連絡が取れない、あるいはどうしても居場所がわからない——そういう場合に使えるのが不在者財産管理人という制度です。
家庭裁判所に申立てを行うことで、行方不明の相続人に代わって遺産分割協議に参加してくれる管理人を選任してもらえます。管理人は通常、弁護士や司法書士が選ばれます。
ただし、管理人は行方不明者の利益を守る立場にあるため、行方不明者に不利な内容の協議には同意してもらえません。法定相続分を下回るような分け方は認められないと考えておくべきでしょう。申立てから審判まで数ヶ月かかるのが一般的です。
長期間行方不明の場合:失踪宣告という選択肢
7年以上行方不明が続いている場合は、失踪宣告という手続きを取ることもできます。家庭裁判所が「法律上、死亡したものとみなす」という審判を下す制度で、これが認められると、行方不明者は相続人から外れることになります。
ただし、失踪宣告が認められるまでには1年以上かかることも多く、その後に行方不明者が生存して現れた場合には問題が生じる可能性もあります。使いどころと手順は慎重に判断する必要があります。
疎遠な相続人から返事が来ない場合
行方不明ではないが「連絡しても無視される」「返事が来ない」というケースも実際には多いです。
この場合、内容証明郵便で連絡を取る、第三者(司法書士や弁護士)から連絡してもらうといった方法が有効なことがあります。見知らぬ専門家からの連絡で、初めて動いてもらえるというケースも少なくありません。それでも協議がまとまらない場合は、家庭裁判所での遺産分割調停という手続きに移行することになります。
早めに動くことが大切な理由
行方不明の相続人がいるケースは、時間が経つほど複雑になります。行方不明の相続人が亡くなっていた場合、今度はその方の相続人が新たに関係者として加わります。関係者が増えるほど、話し合いは難しくなります。
「どうせまとまらないだろう」と諦めてしまう前に、一度専門家に相談してみてください。杉並区・荻窪・阿佐ヶ谷・高円寺・中野区・武蔵野市周辺でも、こうした複雑な相続案件のご相談をよくお受けしています。状況を整理するだけでも、次の一手が見えてくることがあります。
まとめ
行方不明・連絡不通の相続人がいても、手詰まりではありません。戸籍の附票での住所調査、不在者財産管理人の選任、場合によっては失踪宣告——状況に応じた手段があります。ただしいずれも時間がかかるため、早めに動き始めることが重要です。
「うちの場合はどれが使えるの?」という疑問は、ぜひ一度ご相談ください。
司法書士くぼた事務所(東京都杉並区)
相続登記・遺産分割・遺言書作成・家族信託を専門とする司法書士事務所です。荻窪・阿佐ヶ谷・鷺ノ宮・下井草・西荻窪・高円寺・中野区・練馬区(石神井公園)・武蔵野市エリアの方からもご相談いただいています。
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2026年6月5日
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