相続人の一人が行方不明の場合、相続登記はどうする?司法書士が手続を解説
相続登記を進めようとしたところ、「兄弟の一人と何年も連絡を取っていない」「相続人の現在の住所が分からない」ということがあります。
相続人の一人が行方不明でも、その人を除いて遺産分割協議をすることはできません。
ただし、行方不明だからといって相続手続が永久に止まるわけではありません。まず所在を調査し、それでも見つからない場合には家庭裁判所の手続を利用する方法があります。
まずは相続人の住所を調べます
「連絡が取れない」と「法律上、所在が分からない」は同じではありません。
電話番号やメールアドレスを知らなくても、戸籍をたどって相続人を特定し、戸籍の附票などから現在登録されている住所を確認できる場合があります。
そのため、いきなり家庭裁判所へ申立てをするのではなく、まず戸籍関係の資料を集めて相続人とその住所を確認することが基本です。
たとえば、長年連絡を取っていない兄弟が相続人になっているケースでも、住所が判明し、手紙を送ることで遺産分割協議を進められることがあります。
所在が分からない相続人を除いて遺産分割はできません
調査をしても相続人の所在が分からなかったとしても、その人が相続人でなくなるわけではありません。
したがって、残りの相続人だけで「この不動産は長男が相続する」と決めて遺産分割協議書を作成しても、原則として有効な遺産分割にはなりません。
相続人全員による遺産分割が必要な場合には、行方不明の相続人について別の手続を検討する必要があります。
見つからない場合は「不在者財産管理人」を検討します
住所や居所を調査しても所在が分からず、容易に戻る見込みがない場合には、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てる方法があります。
不在者財産管理人とは、行方不明となっている本人に代わって、その人の財産を管理する人です。
遺産分割協議に参加する場合には、不在者財産管理人を選任するだけではなく、原則として家庭裁判所から「権限外行為許可」を得る必要があります。
つまり、単に連絡が取れないから相続人を飛ばすのではなく、行方不明となっている相続人の利益も守りながら手続を進める制度になっています。
相続登記の期限が迫っている場合はどうする?
2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続したことを知った日から原則3年以内に相続登記を申請する必要があります。
ところが、相続人の一人が行方不明だと、遺産分割が期限までにまとまらないこともあります。
そのような場合には、相続人申告登記を利用する方法があります。
相続人申告登記は、自分が登記名義人の相続人であることなどを法務局へ申し出る制度で、相続人の一人から単独で申し出ることができます。
これにより、その申出をした人については相続登記の申請義務を履行したものと扱われます。
ただし、相続人申告登記をしても不動産の名義変更そのものが完了するわけではありません。不動産の売却などをする場合には、最終的に通常の相続登記が必要です。
行方不明の期間が長い場合には別の制度もあります
長期間にわたり生死そのものが分からない場合には、「失踪宣告」という家庭裁判所の制度が問題になることもあります。
ただし、「何年間も連絡を取っていない」というだけで直ちに死亡したものとして扱えるわけではありません。
不在者財産管理人を利用するのか、失踪宣告を検討するのかは、行方不明になった経緯や期間などによって異なります。
相続人と連絡が取れないときは、早めに相続関係を整理することが大切です
相続人が行方不明の場合、まず確認したいのは「本当に所在が分からないのか」「戸籍等から住所を調査できないか」という点です。
住所が判明すれば通常の遺産分割へ進められる可能性がありますし、所在が確認できなければ、不在者財産管理人など次の手続を検討することになります。
また、不動産がある場合には相続登記の期限もあるため、遺産分割が進まないまま長期間放置するのはおすすめできません。
司法書士くぼた事務所では、相続人の調査や戸籍収集、相続登記についてご相談いただけます。阿佐ヶ谷・杉並区を中心に、相続手続で「どこから進めればよいか分からない」という段階からでもご相談いただけます。
家庭裁判所での手続が必要となる場合も含め、まず現在の相続関係と必要となる手続を整理していくことが大切です。
2026年8月28日
