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相続・登記コラム

相続登記の費用は誰が払う?相続人が複数いる場合の負担方法を司法書士が解説

親の不動産を兄弟姉妹で相続するとき、「相続登記の費用は、家を取得する人が全部払うのか」「相続人全員で分けてもよいのか」と迷うことがあります。

相続人同士で登記費用を最終的にどう分担するかについて、どの相続でも同じ割合になるという一律の決まりはありません。不動産を取得する人が負担する方法のほか、全員で分担するなどの合意も考えられます。ただし、登録免許税の納税義務や、司法書士への依頼契約に基づく支払いとは分けて整理する必要があります。

大切なのは、費用の内訳を確認し、「誰が先に払い、誰が最終的に負担し、いつ精算するか」まで決めることです。取得者や負担方法が決まっていない段階でも、相談はできます。

相続登記にはどのような費用がかかる?

相続登記の費用は、税金や証明書代などの実費と、司法書士に依頼する場合の報酬に分けられます。「登記費用を折半する」と決める前に、何を含めるのかをそろえましょう。

  • 登録免許税:登記を受ける際に納める税金です。相続による所有権移転登記は原則として不動産の価額の0.4%で、一定の土地には免税措置もあります。
  • 証明書などの取得費:戸籍、住民票、固定資産評価証明書、登記事項証明書などの取得費や郵送費です。必要な種類・通数は相続関係や不動産によって異なります。
  • 司法書士報酬:登記申請の代理や相続関係の確認など、依頼する業務に対する費用です。

登録免許税の計算に使う価額は、原則として固定資産課税台帳の価格です。実際の売却価格や、兄弟で合意した実家の評価額をそのまま使うわけではありません。

本人が申請する場合も、免税に当たらない登録免許税や証明書代などは必要です。費用・必要書類・手続の全体像は、杉並区で相続登記をするには?期限・必要書類・費用・相談先をご覧ください。

相続登記の費用は誰が払う?

実務では、不動産を取得する相続人が登記費用を負担する形が一般的な方法の一つです。ただし、「家を取得する人が、相続に関係する費用を例外なく全部払う」と法律で決まっているわけではありません。

まず、相続人間の分担と、支払先に対する義務を区別します。

登録免許税は、登記を受ける人に納税義務があります。登記を受ける人が2人以上いる場合には、これらの人が連帯して納付義務を負います。これは、登記を受けない相続人まで当然に全員が納税義務者になるという意味ではありません。相続人間で分担を決めても、国に対する納税義務そのものが自由に変わるわけではありません。

司法書士への依頼に際しては、ご依頼の内容とお支払いの方法を確認します。ご家族の代表者が窓口になる場合も、相続人間の分担は別に話し合っておくと安心です。

そのうえで、相続人同士では全員で分担する合意も可能です。「長男だから払う」「連絡役だから払う」と役割だけで決めず、取得する財産や依頼する業務の範囲を踏まえて整理しましょう。

相続人が複数いる場合の4つの負担方法

1.不動産を取得する人が全額負担する

兄が実家を単独で取得する場合に、兄がその相続登記の費用を負担する方法です。取得者と負担者が一致するため、精算を簡単にしやすい面があります。

ただし、預貯金の手続にも使う戸籍の収集費など、複数の相続手続に共通する費用まで含めるのかは別に確認します。

2.法定相続分に応じて分担する

相続人全員の合意で、法定相続分を費用分担の基準にする方法です。例えば、法定相続分が各2分の1の兄弟2人なら、対象費用を半分ずつ負担します。

これは合意により選ぶ基準であり、相続登記費用が必ず法定相続分どおりになるという意味ではありません。合意があれば、均等割りや、実際に取得する財産に応じた分担も検討できます。

3.相続する預貯金から精算する

相続人全員で合意し、相続する預貯金から登記費用を支払い、残額を分ける方法です。先に一人が立て替え、預貯金の払戻し後に精算する形も考えられます。

対象となる費用と口座、精算の順序を決め、請求書・領収書を共有します。遺産だから誰でも自由に引き出して使えるわけではなく、金融機関の相続手続も必要です。また、遺産から支払う合意と、相続税の計算で控除できるかどうかは別の問題です。

4.代償金の計算に費用を反映する

一人が実家を取得して他の相続人へ代償金を支払う場合に、登記費用の分担も含めて精算額を合意する方法です。取得者が費用を払う予定でも、他の相続人に渡す代償金から一方的に差し引くことは避けましょう。

代償金の元の金額、費用の負担額、差引き後の支払額を区別して記録すると、計算を確認しやすくなります。代償金や税務上の取扱いにも関係するため、必要に応じて税理士へ確認します。制度全体は、相続した実家を兄弟の一人が取得する代償分割の仕組みと注意点で解説しています。

兄弟間で費用負担を決めるときの注意点

一人だけが実家を取得する場合は、「家をもらう人が払うはず」「相続の手続だから全員で払うはず」という考え方の違いが起こり得ます。見積りを共有し、不動産の登記だけの費用と、相続人調査などの共通費用を分けて話し合うと整理しやすくなります。

売却予定で一人が立て替える場合は、売却代金が入る前に支出が必要になる点に注意します。立替額をいつ、誰から返すのか、売却が延びた場合はどうするのかを確認します。「売れたら考える」では、立替期間や負担額が曖昧なままになります。

例えば、兄弟で半分ずつ負担すると合意し、兄が先に全額を立て替えた場合は、後から弟の負担分を精算する形になります。実際に支払った内容を共有し、お互いの認識をそろえておくと安心です。

売却代金から費用を先に差し引いて残額を分ける場合は、さらに各人から同じ費用を徴収して二重精算しないようにします。売却を伴う手続は、換価分割の流れと注意点も参考にしてください。

相続人調査や追加書類で費用が増える場合に備え、追加費用の説明を誰が受け、誰に共有し、どのように了承を得るかも決めておきます。連絡窓口を一人にすることと、その人が全費用を負担することは別です。

登記費用と維持費は別に整理します。実家の修繕費、管理費、固定資産税などは、発生した時期や所有・利用状況によって検討が必要です。「相続に関係する出費」として一括せず、項目と対象期間を分けましょう。

遺産分割協議書に費用負担を記載できる?

相続人間で合意した費用負担を、遺産分割協議書に記載する方法があります。費用がまだ確定していない場合には、別途の合意書や精算書と組み合わせることも考えられます。

記載を検討する主な項目は、次のとおりです。

  • 対象とする不動産と費用の範囲
  • 誰が、どの割合または金額を負担するか
  • 立替者と、精算の期限・振込先・方法
  • 請求書や領収書など、精算額を確認する資料
  • 追加費用が発生した場合の確認方法

単に「諸費用は兄が負担する」と書くと、売却費用や維持費まで含むのかが分かりにくくなります。一方、実額が確定する前に固定額だけを書けば、不足分や余剰分の扱いが問題になります。何を対象にするかを先に整理することが大切です。

費用負担の記載は、相続登記に使うすべての協議書に一律に必要というものではありません。単独取得、共有、代償分割、換価分割など、内容に応じて記載方法が変わります。基本事項は、遺産分割協議書の書き方をご覧ください。

相続登記の費用で迷っている場合は司法書士へ相談を

相続人が複数いる、不動産を取得する人と費用を負担する人が異なる、代償分割や換価分割を予定している場合には、依頼前に費用の範囲と手続の進め方を確認すると役立ちます。売却と相続登記を続けて進める場合も、支払時期を含めた準備が必要です。

ご家族の間で費用の分け方に迷っている段階でも、必要な手続や準備について相談できます。家族だけで負担額を決め切ってから相談する必要はありません。

ただし、司法書士が一方の相続人の代理として、遺産分割をめぐる争いの交渉をするわけではありません。負担や分け方について対立があり、相手との交渉・紛争解決が必要な場合は弁護士へ、個別の税務判断は税理士へ相談します。

杉並区・阿佐ヶ谷で相続登記をご検討の方へ

司法書士くぼた事務所では、相続登記と、それに必要な相続人調査や遺産分割協議書の作成についてご相談いただけます。業務の範囲や費用は、相続登記の業務案内・取扱サービスと費用をご覧ください。

初回相談では、不動産の課税明細書など手元にある資料、分かる範囲の家族関係、誰が取得したいかという希望、既に立て替えた費用があればその記録をお持ちください。すべてそろっていなくても構いません。

誰が不動産を取得するか、費用をどう分けるかが決まっていない段階でも相談できます。杉並区・阿佐ヶ谷・南阿佐ヶ谷周辺で相続登記をお考えの方は、初回無料相談・お問い合わせからご相談ください。

2026年9月25日

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