渉外相続とは?海外に住む相続人・外国籍の家族がいるときの確認事項
「渉外相続」「渉外登記」という言葉を初めて見て、「自分の家族も当てはまるのだろうか」と感じる方もいると思います。
渉外登記とは、外国籍の方や海外に住んでいる方など、外国に関係する要素を含む登記手続きを一般に指す言葉です。相続の場面では、相続人が海外に住んでいる、亡くなった方や相続人が外国籍、日本と海外の両方に財産がある、といったケースが考えられます。
大切なのは、最初から「海外が絡むから難しい」と一括りにしないことです。まず、誰が・どの国籍で・どこに住んでいて・どこに財産があるのかを分けて整理すると、確認すべきことが見えやすくなります。
海外に住んでいることと、外国籍であることは別に考えます
たとえば、日本国籍の相続人が仕事や結婚などで海外に住んでいるだけであれば、「どの国の法律で相続するか」よりも、署名や住所をどの書類で証明するかが問題になることがあります。
一方、亡くなった方が外国籍の場合には、相続人や相続分を判断する前提として、どの国の法律が相続に適用されるのかを確認する必要があります。日本の「法の適用に関する通則法」では、相続は原則として亡くなった方の本国法によるとされています。ただし、その国の国際私法のルールによって日本法が関係してくる場合もあるため、国籍だけで結論を決めることはできません。
さらに、海外にも不動産や預金などの財産がある場合には、日本の相続登記とは別に、財産がある国での手続きが必要になることがあります。
最初に整理したい5つの情報
海外や外国籍が関係する相続では、相談前に次の点が分かる範囲で整理されていると、手続きの見通しを立てやすくなります。
- 亡くなった方の国籍と、亡くなる前に住んでいた国
- 相続人それぞれの国籍と現在の居住国
- 日本にある不動産の所在地
- 海外にも不動産・預金・証券などの財産があるか
- 日本または海外で作成した遺言書があるか
この段階で戸籍や外国の証明書をすべて揃える必要はありません。まずは家族関係を簡単なメモにして、手元にある遺言書、戸籍、不動産の固定資産税の課税明細書や登記事項証明書などを確認できれば十分です。
代表的な3つのケースで、確認事項は変わります
1.日本人の相続人が海外に住んでいる場合
日本の印鑑証明書を取得できない場合、署名証明などを使って手続きを進めることがあります。また、その相続人自身が日本の不動産を取得する場合には、海外の住所を証明する書類も確認します。詳しくは海外在住の相続人がいる場合の相続登記で説明しています。
2.亡くなった方が外国籍の場合
日本に不動産があっても、相続人が誰か、どのような割合で相続するかについて、外国法の確認が必要になることがあります。準拠法の考え方は外国籍の家族が亡くなったら、どの国の法律で相続する?で詳しく解説しています。
3.日本と海外の両方に財産がある場合
日本の不動産については日本の法務局で相続登記を進めますが、海外財産について同じ手続きだけで完了するとは限りません。どの国に何があるのかを先に一覧にして、日本で進める部分と海外で確認する部分を切り分けることが大切です。
通常の相続より準備が増えやすいポイント
外国が関係する相続では、戸籍だけでは家族関係を確認できず、外国の政府機関などが発行した証明書を使うことがあります。外国語の書類を登記に使用する場合には、日本語の訳文が必要になることもあります。
また、海外に住所がある方が日本の不動産の所有者として登記される場合には、住所を証明する情報のほか、国内における連絡先に関する情報を確認する必要があります。
必要な書類は、国籍、居住国、相続の内容、遺言の有無などによって変わります。「海外ならこの書類」と一律には決められないため、取得に動く前に必要書類を整理した方が、二度手間を避けやすくなります。
なお、亡くなった方が生前に帰化して日本国籍を取得している場合には、相続そのものは日本法に基づいて考える一方、相続人を確認するために帰化前の身分関係資料が必要になることがあります。詳しくは、帰化した親の相続登記はどう進める?日本の戸籍と帰化前の書類の確認で解説しています。
司法書士に相談する意味があるケース
相続人が海外にいるだけであれば、ご自身で相続登記を進めることも可能です。一方で、亡くなった方が外国籍、海外で作成した遺言がある、日本と海外の両方に財産がある、外国の証明書を使う必要がある、といった場合は、最初に全体像を整理してから動く意味があります。
司法書士は、日本国内の不動産の相続登記、登記に必要な書類の作成や確認などを扱います。税務、相続人間の紛争、外国法や現地手続きについて別の専門家による対応が必要な場合には、問題を切り分けて進めることが重要です。
司法書士くぼた事務所は杉並区阿佐谷南にあります。阿佐ヶ谷・南阿佐ヶ谷・杉並区周辺で、ご家族の海外居住や外国籍が関係する相続について「まず何を確認すればよいか分からない」という段階でもご相談いただけます。海外にお住まいの方とのオンライン相談にも対応しています。
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2026年9月7日
