国をまたぐ相続税と贈与税、何が違う?渉外登記のハードルを司法書士が解説
まずはじめに、このたびの熊本県での地震により被害を受けられた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。一日も早く、安心して過ごせる日常が戻りますようお祈りしております。
さて、当事務所のある杉並区阿佐谷南というエリアは、都心へのアクセスが良く、海外赴任のご経験がある方や、ご家族が海外にいらっしゃるご家庭も、決して珍しくありません。今日は、そうした「国をまたぐ相続」における税金の話と、私たち司法書士が扱う「渉外登記」の難しさについてお話しします。
相続税と贈与税、国をまたぐと何が変わるのか
最初にお断りしておきますが、税金の具体的な判断は税理士の専門分野です。私は税務の専門家ではないため、ここでは一般論として、実務でよく話題になる点をご紹介するにとどめます。実際の判断は、必ず税理士にご確認ください。
「どこに住んでいるか」が大きく影響すると言われています
国際相続における税金の扱いは、亡くなった方や相続人が「日本に住所を持っているか」「どのくらいの期間住んでいたか」「国籍はどこか」といった要素によって変わってくる、と言われています。
一般的には、日本に住所がある方が亡くなった場合、海外にある財産も含めて日本の相続税の対象になるとされています。一方で、長期間海外に住んでいる場合などは、扱いが異なるケースもあるようです。この判定は非常に複雑で、専門的な知識が必要な部分です。
二重課税の問題
海外に財産がある場合、その国でも相続税や類似の税金が課される可能性があります。同じ財産に対して二か国で課税されることを避けるため、「外国税額控除」という仕組みが用意されていると聞いています。ただし、その適用条件や計算方法は複雑で、国によって制度も異なります。
贈与税も同様に複雑です
生前贈与についても、国をまたぐ場合は、贈与する側・受け取る側それぞれの居住状況によって、課税の扱いが変わってくるようです。「相続で渡すか、生前贈与で渡すか」という選択も、国内だけで完結する場合とは別の考慮が必要になります。
いずれの点も、国際税務に詳しい税理士に相談しながら進めることが不可欠です。当事務所でも、必要に応じて税理士と連携しながらご相談を進めています。
司法書士の領域:渉外登記のハードルの高さ
ここからは、私の専門分野である登記手続きの話です。国際相続では、渉外登記と呼ばれる、通常より複雑な登記手続きが必要になります。
印鑑証明書が取得できない
相続人が海外に住んでいる場合、日本の住民登録がないため、印鑑証明書を取得できません。代わりに、現地の日本大使館や領事館でサイン証明(署名証明)や在留証明を取得していただく必要があります。これはご本人が現地で動く必要があるため、やり取りに時間がかかります。
外国籍の方が関わると、その国の法律を調べる必要がある
亡くなった方や相続人が外国籍の場合、どの国の法律を適用するかという判断が必要になります。日本の民法だけで手続きが完結せず、相手国の相続制度を調べたうえで、書類の構成を組み立てる必要があります。
戸籍制度がない国も多い
日本では戸籍で家族関係を証明しますが、戸籍制度がない国も少なくありません。その場合、出生証明書・婚姻証明書・宣誓供述書などで家族関係を証明することになり、外国語の書類は日本語への翻訳も必要です。さらに「アポスティーユ」や「領事認証」といった、書類の真正性を証明する追加手続きが求められることもあります。
だからこそ、早めのご相談を
渉外登記は、通常の相続登記に比べて、必要な書類も、かかる時間も、格段に増えます。郵送のやり取りだけで往復に数週間かかることもあり、すべての手続きが完了するまでに、想像以上の期間を要するケースも珍しくありません。
「家族が海外にいるけれど、相続手続きはどうなるんだろう」「海外に不動産があるかもしれない」——こうした状況に心当たりのある方は、実際に相続が発生する前の段階で、一度ご相談いただくことをおすすめします。何が必要になるか、全体像が見えるだけでも、心の準備が違ってきます。
まとめ
国をまたぐ相続では、税金の扱いも登記手続きも、国内だけで完結する場合と比べて格段に複雑になります。税務は税理士、登記は司法書士と、それぞれの専門家が連携しながら進めることが欠かせません。
杉並区阿佐谷・阿佐ヶ谷・荻窪・高円寺・中野区・武蔵野市周辺の方はもちろん、全国どちらからでも、オンラインでご相談を承っております。国際相続に関するご相談も、お気軽にお声がけください。
司法書士くぼた事務所(東京都杉並区阿佐谷南)
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2026年7月29日
