家族信託を任された子どもは何をする?お金の管理と引き受ける前の確認事項
「家族信託で、これから財産の管理をお願いしたい」
ご家族からそう言われたとき、「自分は具体的に何をするのだろう」と戸惑う方もいると思います。
家族信託は、契約を作って終わりではありません。財産の管理を任された方は、その後、決められた内容に沿って財産を管理していきます。
ただ、最初から難しく考える必要はありません。日常の管理は、まず「使う・分ける・記録する」の3つで考えると分かりやすくなります。
家族信託では、財産を預かって管理する役割があります
家族信託で財産の管理を任される人を、法律上は「受託者」といいます。
例えば、お母さまが自宅や一定のお金を家族信託に入れ、娘さんがその管理を任されたとします。
この場合、娘さんは自分のためではなく、お母さまの生活などのために、その財産を管理していきます。
名義が管理する方へ移ったとしても、自由に使える自分の財産になるわけではありません。
また、家族信託をしたからといって、ご本人が持っている財産をすべて管理できるわけでもありません。どの財産を信託するのか、何のために使うのかは、契約の内容によって変わります。
例えば、将来、自宅を売却できるようにしておきたい場合には、売却までできる内容になっているかを事前に確認しておく必要があります。
実家の売却に備える家族信託については、「親が認知症になると実家を売れない?家族信託で不動産売却に備える方法」でも解説しています。
普段の管理は「使う・分ける・記録する」
1つ目は、決められた目的に沿って使うことです。
例えば、生活費や介護費などのためにお金を管理することになっていれば、その目的に沿って支払いをしていきます。
何にでも自由に使えるわけではなく、家族信託で決めた範囲で管理するのが基本です。
2つ目は、自分のお金と分けて管理することです。
預かったお金と、自分自身の生活費などを一緒にしてしまうと、後から何に使ったのか分からなくなってしまいます。
そのため、信託したお金は自分の財産と分けて管理します。
実際にどのような口座を利用するかは金融機関によって取扱いが異なるため、家族信託を始める前に確認しておくと安心です。
3つ目は、お金の動きを記録することです。
例えば、
- いつ
- 何のために
- いくら支払ったか
が後から分かるようにし、領収書や通帳なども残しておきます。
細かな法律用語を覚える必要はありませんが、「家族だから記録しなくても大丈夫」と考えず、後から確認できるようにしておくことが大切です。
引き受ける前に「自分が続けられるか」を考える
家族信託を考えるときは、「信頼できる家族だからお願いする」ということだけでなく、実際に管理を続けられるかも確認しておきたいところです。
例えば、次のような点です。
- どの財産を管理するのか
- 普段どのような支払いがあるのか
- 自宅を売却する必要が出たとき、何をするのか
- 記録や書類の保管を続けられるか
- 自分が管理できなくなった場合にどうするか
仕事や子育てをしながら管理を担当することもあります。
そのため、「法律上できるか」だけではなく、自分の生活の中で無理なく続けられるかまで考えておくことが大切です。
もし、任せられる方がいない、管理の負担が大き過ぎるという場合には、家族信託を無理に選ぶ必要はありません。
成年後見制度など、ほかの方法と比べた方がよい場合もあります。
家族信託と成年後見制度の違いについては、「認知症になる前にできることは?家族信託と成年後見制度の違い」も参考にしてください。
家族信託は「財産・希望・できること」を合わせて考える
家族信託を検討するときに、最初から契約書の文章を考える必要はありません。
まずは、
- どの財産を管理してほしいのか
- その財産を将来どう使いたいのか
- 管理を任される方が、どこまで対応できるのか
この3つを整理するところから始めると分かりやすくなります。
例えば、「将来、自宅を売却できるようにしたい」という希望と、「日々の生活費まで細かく管理してほしい」という希望では、必要な仕組みも変わります。
家族信託は、できるだけ多くの財産を任せればよいというものではありません。
ご本人が将来どうしたいのかと、実際に管理するご家族ができることを合わせて考えることが大切です。
これから検討する方であれば、管理したい不動産や預貯金、ご本人の希望を簡単にメモするところから始められます。
すでに契約している場合は、信託契約書や現在の管理状況が分かる資料から確認することもできます。
司法書士くぼた事務所では、家族信託の契約や不動産の信託登記についてご相談いただけます。
「家族信託を使うこと」を先に決めるのではなく、財産、ご本人の希望、管理を担当する方ができることを整理しながら、家族信託が合っているのかも含めて一緒に考えていきます。
※家族信託の内容や管理方法は、契約内容や財産の種類などによって異なります。金融機関での口座の取扱いは各金融機関へ、個別の税務判断については税理士・税務署へ確認が必要です。
2026年9月29日
